華氏451度

History is his story.

【SV S18使用構築】不完全性定理

【結果】

TNヴェンデッタ 最高2164 最終140位

TNスカーレット 最高2160付近 最終××

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詳しい記事は倉本蘭が書いています。

【SV S18 最高2124 最終2121 80位】世界仰天白バド対面サイクル - くらもらんと!

 

 

【構築経緯】

<方針>

既存を大きく覆しアーキタイプの定まらないS18において、相手の型や行動を読んだ選出をする戦いは安定しないと考えた。そのため最初に対面構築の使用を棄却した。

・残された構築タイプはギミック、サイクル、積み展開である。この三択の中から以下の点を評価して、サイクル構築の使用を決めた。

 

<前提>

テラス択や見えない型をケアする点において、定数ダメージの利用が強力なことはSV環境において広く知られている。例としては宿り木の種、状態異常:毒、設置技、塩漬けなどだ。

 

①この戦法の障害となっていた「サーフゴー」「毒テラスガチグマ」「炎オーガポン」「数々の毒テラスタル」の有意な減少を受け、そもそもサイクル構築が相対的強化を受けていること。

②対応の難しい構築に対しても"TOD"という逃げ道で勝利を掴みやすいということ。

③これまでより大きな変化の予想される最終日において、勝てなくなった時に「何が原因か」「何故負けるのか」を明確にしやすく、構築のブラッシュアップが図りやすいこと。

 

これらの理由により、定数ダメージを利用可能な伝説を軸としたサイクルを行うことに決めた。

 

<伝説の決定>

・方針が定まったところで具体的な考察に移る。上記、定数ダメージが利用可能な禁止伝説において着目したのは「宿り木の種白バドレックス」だ。

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・「サイクル構築の天敵となる零度パオジアンに対して極めて強いこと」「圧倒的耐久数値により、宿り木+みがわりを継続させやすいこと」「通りの良い一致高火力技を高い攻撃数値から放てること」などを評価した。

理由はまだ多く挙げられるが、冗長になってしまうため個体紹介の項に譲る。

<補完について>

・バドレックスは高速再生技を持たない。このため、負荷を分散させる必要がある。しかし、現環境において放たれる技は火力指数が高く、それぞれに特化した数値を持たなければ安定した受け出しは不可能だ。

・そこで、物理受けと特殊受けをそれぞれに用意する。

<受けポケモンの採用>

①最初に白羽の矢が立ったのはドオーだ。特殊受けを担当する中でミライドンとカイオーガに明確に強く、構築コンセプトを満たす「どくびし」を使うことが出来る。

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②物理受けを探す。環境に並居る物理ポケモンのうち、白バドレックスが不利を取るポケモンとして「コライドン」「炎オーガポン」「ザシアン」などが挙げられる。これらを受けることが出来るのはラウドボーンしかいない。

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③しかし、対黒バドレックスで行き詰まる。

白バドレックスは黒バドレックスに不利を取り、黒バドレックスに強いとされる受けポケモンはその補完枠に崩されてしまう。

・そこで、対黒バドレックスはサイクルを最小限に上から縛る動きをすることにした。

・採用したのはスカーフイーユイである。アストラルビットを2耐えし、ドレインキッスに抜群を突かれない。高火力で受け出しを許さず通しやすい。

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・であるが、黒バドレックスをイーユイに一任するのは厳しい。テラスタル:フェアリーを切らせることはできるが、オーバーヒートを耐えられてしまうため、展開によっては処理が難しくなる。

・発想を転換、「フェアリーテラスを切らせる」ことに着目し、神速カイリューをイーユイ裏に置くことで解答とした。

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・残りが一枠となったところで、具体的な選出について考える。勝てない構築に「起点作成からの積み展開」や、「ステルスロック+剣舞スケショコライドン」、「ホウオウループなどの硬い受けサイクル」などが考えられた。これら全てに無理やり勝ち筋を見いだす事が出来る「フェアリーテラスまもみがグライオンを採用し、構築を完成とした。

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が、ラウドボーンがザシアン/コライドンに対して安定しなかったこと。

グライオンの選出基準が曖昧であり、勝ち負けに理由をつけづらかったこと。

終盤になり黒バド構築がディンルーを基本選出に混じえてきたことで刺さりが悪くなったこと。

相手のグライオンを突破する手段に乏しいこと。

 

などから、以下のように変更した。

①ラウドボーン→スカーフメタモン。コライドンとザシアンを受けることを諦め、対面的な処理を優先した。

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グライオン→珠パオジアン。硬い受けサイクルを能動的に崩すことにした。

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③イーユイ→鉢巻ノーマルテラス水ラオス。相手のグライオン、ホウオウなどの処理に貢献する他、白バド構築ミラーの解決になりうる。

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以上の経緯で六匹の並びとした。

 

【敗因分析】

以下、乱文乱筆を自覚しているため、構築に興味があってこのページを開いていただいた方は閉じてもらって構わない。

 

 

 

・環境の変遷への理解不足

白バド構築が話題を呼んでおり、自然とメタが張られるようになっていたようだが、それへの認知が甘かった。想定していない挑発や身代わり、テラバーストなどに崩され続けた。

 

・コンセプトの崩壊

「受け」て勝つ構築を目指した。

最終日での変更点、メタモン、球パオジアン、ハチマキ水ラオス

コンセプトが崩壊しているにも程がある。

シーズン通して「受ける」ことを考えてきた。結果は?白バドとドオー以外全て受けコマではない。

思考の矛盾が発生している。試合ごとに「勝ちの理由」がつけづらい。

前提条件が不完全で曖昧であれば、論理的に結論も不完全で曖昧となる。

 

・集中力の欠如

これは私自身の問題であり、ことさらに演繹可能な論理では無い。そのため納得はしてもらわなくて構わない。自分語りに抵抗があるならここで当ページを閉じていただきたい。

 

 

 

 

その上で問題を挙げるなら、神経を使う構築を2ROMで回していたことが問題であった。朝5時以降、各所でミスがあったことを自認している。

 

元より集中力の持続に問題があることを自認していた。

しかし、「強いプレイヤーは複数ROMで挑んでいる」という前提に引き摺られ、ここまで2ROM体制を崩すことは無かった。これが問題である。

思い返せば最終1桁を取れたシーズン、そしてそれ以上を目指して潜ったシーズンである「S6/S7/S12/S14」は何れも日付変更より前に1ROMでスタートしていた。

 

ここ数シーズン、最終日"まで"は調子が良かった。先月、今月と最終日に2ROM1桁スタートを決め、どちらもひどい結果に終わっている。

答えは簡単だった。灯台もと暗しとは蓋し名言であると感じる。

知ってしまえば「そんなことだったのか」となる問題も、そもそも答えを選択肢として捉えていなければ難問となる。

 

・ゲームをする理由の変化

そもそも自分は「最強」に憧れる人種ではないと自認している。

ゲームを通して自己表現を行うことが好きなのであり、例えば「マイナーなカード/戦法を用いてある程度の結果を出す」というようなモチベーションで今までゲームをしてきた。ポケモンに関しても例に漏れることはなかった。

「前提条件を明白にした際、それを全て満たしかつあまり知られていない解答」を見つけ出し、公表することを楽しみとしていた。

 

誤解を恐れず言うならば、自分は「構築記事のためにポケモンをしていた」のである。

 

しかし、この頃意識の変化を感じている。「勝ちたい」「最終1位を取りたい」「最終1位以外に価値を感じない」とまでなってきている。これはいかにも自分らしくなく、それゆえにゲームを楽しめていないと感じることが増えた。

 

構築経緯に関しても同様のことが言える。自分はポケモンをする際、六匹をそれぞれ補題とし、構築全体で"環境への証明"とすることを目指している。

だが、ここ数シーズンで理屈で説明しきれない採用が増えてきた。「これにはこうした方が強いから」という考え一今回のことであればメタモンの採用一などは、あまりに実用主義的な考えであり、自己表現からは遠ざかっている。

 

補足。これは「自己表現と最終一位が両立しない」や「実用主義は間違っている」という指摘ではない。前者に関してはむしろその反対であることは瞭然であると言える。後者に関しても「実用主義的思考が肌に合う人」もいるわけで、ただ自分には机の上の理屈が性に合っているという結論だ。

 

 

 

結果より過程だ、とは言わない。

言わないが、誤った前提の元には誤った結論が(ほとんどの場合)導かれるし、過程が違えば結論もまた変わると考えられる。

 

 

幸い、六月は用が立て込んでおり一度距離を置く時期となる。自分のモチベーションの原点や、思考と思想の乖離に関して一度見直すいい機会となることを願う。

 

シルヴァリオ ヴェンデッタ -Verse of Orpheus-