【結果】最終41位
【TN】スターログ
【コンセプト】
①同じ元タイプを二匹、同じ耐性テラスタルで採用する。
これにより、テラス前のサイクルとテラス後のサイクルをそれぞれに形成する。
②KPが高いポケモンを、メジャーな型から逸らして採用することで「相手視点の安定択」をこちら視点でも安定択で解決する。
③SV環境において「強いプレイヤー」が再現性高く勝ち続ける理由はTODの存在にあると考えられる。これを太い勝ち筋として採用する。
②の強みは広く膾炙されていると思われるため、個体紹介の方に簡単に記載した。
③は主観が強く、客観的な根拠や妥当性に乏しいため総括に載せておく。
ここでは①について掘り下げることにする。
【テラス前のサイクル、テラス後のサイクル】
<テラスタルの種類>
・テラスタルというシステムがどのようなシーンで使われるかを言語化した際に、以下のようなものがあると考えられた。
A
耐性テラスによる対面処理。例としては半分削れたカイリューと眼鏡カミの対面でカイリューが鋼テラス+アイアンヘッドをすることで、カミを引かせずに処理をすることなど。
B
テラスによる崩しの遂行。「崩し」というと対サイクルを想定しがちだが、「相手の行動保証を失わせる」こともまた崩しのテラスの強みである。例としては、眼鏡カミのゴーストテラスによって体力満タンで毒テラスした水ラオスを処理することや、パオジアンの電気テラバーストにより水ウーラオスを処理することなど。
後者に関しては崩しと耐性の両面を兼ねたテラスタルとはなるが、「サイクルを回す」際には採用されづらいものであるため今回は割愛する。
・視点を少し変えて、卑近な事例からこの事について考察する。
<両対応テラスタルの夢>
テラスタルシステムを「面白くない」という人がいる。"テラス択はじゃんけんだから"というのがその主張の理屈ではある。上記の例Aについて考えてみよう。
・カイリューは鋼テラスをすると本来苦手としない「ランドロス」「ガチグマ」といった相手に不利を負ってしまう。
そのため、カミと等倍ムンフォ圏内のカイリューの対面で鋼テラスを切った際、鋼テラス読みで地面技持ちのアタッカーに引かれてしまうとゲームは終わってしまうのだ。
択というものはどのような事象にもつきものだが、テラスタルシステムはこれが顕著で目視しやすいことが「面白くない」主張の原因であろう。
・例えばここで、ランドロスに引かれたとする。
しかし、自分の裏に相手のランドロスに受け出しから強く出ることができるポケモンがいたらどうだろうか。
それは「カミが居座ってもよし、引かれても解決できる」問題になる。
とは言え、もちろんこの例は具体的に過ぎる。
再現性に欠けており、そんなことを毎回出来れば苦労はしないだろう。
結局選出択ではないかという反駁を許してしまう。
・しかしその解像度を少し落とすことで、さらに普遍的なものに落とし込むことが出来れば、ストレスがない再現性の高いゲームをすることが出来るのではないかと考えた。
<テラスタルを用いた、人為的なサイクルの形成>
・対戦において最も普遍的なものは「タイプ補完に優れる並びは強い」ということである。しかしそれはテラスタルと噛み合いが悪い。なぜなら、テラスタルは元のタイプを失ってしまうため、元タイプの補完の優秀さを消してしまうことになるのだ。
そこで、逆に相性補完における最悪の並びを想定したところ、同タイプ二匹の並びが挙げられた。
これは逆説的に、テラスタルを使用すれば補完の良い並びを形成することが出来ると考えられる。
・従って、方針を以下のように定めた。
「同じタイプを持つポケモンを同じ耐性テラスタルで採用する」ことである。
耐性テラスとは元のタイプと補完が良いものが選ばれる。そのため、同じタイプのポケモンと組んでいる時にこれを行えば二体の間に強固な相互関係が成立し、新たなるサイクルの形を形成可能だ。
<二鋼の選定>
・概念の話はここまでにして、実際のテラスタイプと元タイプについて立ち返る。現環境において受けたい技のタイプは「氷」「フェアリー」「地面」「格闘」「水」「炎」「草」などである。
「水/草/炎/格闘/地面」に対して耐性を持ち、型の匿名性の高さからテラスタルを強く使うことが出来る「ゴツゴツメットカイリュー」を1匹目に採用した。サイクルをする以上、カバルドンやディンルー、積み技が重たくなるので身代わり+ドラゴンテール型になる。
テラスタイプは「氷」「フェアリー」を半減にすることが出来る鋼とした。
・となれば相方は「鋼テラスを強く使える」「飛行タイプ」だ。
ここで先程の問題、即ち「鋼テラスは地面タイプに弱すぎる」が持ち上がってくる。
いくら飛行タイプであり条件を満たしているとしても、地面タイプに勝てないのでは全てが水泡である。
追加の条件として「地面タイプに強い」もなくてはならない。
それら全てを満たすことが出来るのが「鋼テラスチョッキランドロス」である。飛行タイプで地面を透かしつつ、他の飛行では懸念される岩技への耐性があり、威嚇によって受け出し回数を複数回確保できる。
・以上の考察により、二枚の飛行であり二枚の鋼、この二体を軸として構築を組むことにした。
<交換ボタンを強く使う手段>
・以上二枚の並びは、対応範囲に優れるがパワーがない。押し付けられているだけで苦しくなっている。
・そこで、サイクルエースとなる攻め要素を欲した。
二体で強固なサイクルが完成しているため、本来サイクルエースに掛かる負荷をこの二体に安心して受け持たせることが出来る。
相手はこちらのサイクルエースを止めるために何とかして削らなければならないが、こちらはその負荷を硬いサイクルで受け止めつつ有利なダメージレースを進められる。
・サイクルエースとして欲しい要素を考える。
今回のランドロス、カイリューはいずれも「受け出しからの行動が強い型」である。また、どちらもすばやさが遅く、上から縛ることが出来ないことから、勝ち筋を想定することが難しい。
「○○をどこまで削れたら××で上から全部殴って勝ち」のような、明確なゴールがないと試合の流れが雰囲気になってしまいがちだ。
そこで、スカーフアタッカーと組み合わせることで二匹の性能を発揮したいと考えた。受け出しの要素は足りていることから、求められるのは一貫性と火力、テラスタルに依存しないこと、蜻蛉返りなどの交換技の所有である。また、先制技への抵抗も必須となる。
・ここで、全てを満たす「スカーフ悪ラオス」を採用した。カイリュー絡みのサイクルにあまり不利を取らないことが強力と言える。
また、スカーフの数がかなり少ないポケモンであることから、蜻蛉返りを読まれることが少なく、素直に目の前に通る技を押されやすいのが水に比べての優位点である。
・強力なアタッカーを使う際、必要な地盤は優秀なタイプ補完と数値によるクッションの存在である。
クッションとは即ち「エースのリソースを削がずに相手の行動保証を奪う枠」である。
クッションから強力なアタッカーを着地させ火力を押し付けるという行動の本質は、事実上対面構築と同じ「目の前に通る技を打ち続ける」構築である。
その原理に沿うならば、クッション役にテラスタルを切って一ターンもらう動きは強いはずだ。
・今回採用したクッションはカイリューとランドロスであり、どちらも耐性のテラスを採用している。これは↑で挙げたAの例に相当する。
即ち、この構築におけるテラスタルは「耐性テラス+元が同タイプによる強固なサイクル形成」「その耐性テラスターン時に、一ターンを副次的に奪い取ることができる」という攻めと受け、ふたつのアドバンテージを獲得する行動となる。
交換ボタンを強く使う上で、スカーフ+受け2枚の選出は勝ち筋の見据えやすさに優れ、再現性が高い。他の構築にも活かせる要素であると考える。
・四枠目に求めたのは補完のサイクルパーツである。
ランドカイリューの二体はテラスタルを切るまではあまり補完に優れた並びではない。
よって、この二体と相性に優れるサイクルパーツが必要となる。
また、スカーフ悪ラオスを初手に置く上で相手のパオジアンに後投げから強い行動に繋げられるポケモンが必要と考えた。
氷の一貫切り、ドラゴンテールと相性の良いポケモンとしてここでは「毒菱を覚えたドヒドイデ」を採用した。
<二種類の崩し>
・五枠目/六枠目には崩しを求めた。今回のような「受けに寄せたサイクル構築において採用すべき崩し」には"二種類の崩し"が必要であると考えている。
・一つ目は「低速/超耐久で構成された受けループ、あるいはそれに準ずる受けサイクル」への崩しである。これは一般的に想定されるもので、多くのプレイヤーが採用しているものであろう。
・二つ目には「サイクル下で緩やかに崩してくるサイクルパーツへの崩し」である。
具体的にはヒードランやチオンジェン、ステロドオー、ラッシャ、ハッサムなどが挙げられる。
これらに対しては「受け出す」という行為をし続けた時、削れていくのは自分の側であり、アクションを起こさなくてはならない。
しかし、対面コマをポンと入れても相手側からも想定されていることなので対応されやすい。
・そこで、相手側が想定している受け方を「想定外のポケモンの火力」で崩していくことで、崩しを崩して受けポケモンによるTODを通せると考えた。
・これらの考えにより、五枠目には「砂地獄残飯ディンルー」を。六枠目には「ゴーストテラスの眼鏡ハバタクカミ」を採用し、構築を完成とした。
【個体紹介】
1.選出率は一番低いハバタクカミを除きほぼ均等だった。
3.ディンルーとドヒドイデはランドロスかカイリューのどちらか、或いは両方と必ず同時に選出した。
4.テラスタイプはある程度切るポケモンを意識して選出する必要がある。テラス後のサイクルに一貫する技を作らないように心がける。
5.一致テラスタルは、それが勝ちに繋がる状況以外では切らない。
カイリュー@ゴツゴツメット
テラスタイプ:鋼
慎重 H244-B140-D124
(197-154-133-×-149-100)
参考:【SVシーズン9使用構築】パオカミお魚運ゲ【最終11・19位】 - Brightest Melody
・コンセプトの一体目、軸として採用した。サイクルを破壊してくる積み技に対してドラゴンテールが強力に突き刺さる。
・みがわり+羽休め+マルチスケイルによるTOD性能が高い。
・参考元はマントだが、発動シーンがなかったためランドカイリューの選出をした際にラオスにテンポを取ることができるゴツメで採用。
・ドラゴンテールは必ず後攻になる技である。これにより相手の回復技の下から打つことが出来、TODに適したポケモンであると言える。
・HDベースで採用し、ハバタクカミへを始めとした特殊への見えない後投げ要員として機能した。
・ドヒドディンルーという並びはカバルドンや吹き飛ばしディンルーによる崩しを強烈に誘う。
が、それらを全てカモにすることが出来たので、構築と非常にマッチしていた。
ランドロス@突撃チョッキ
テラスタイプ:鋼
地震/蜻蛉返り/じならし/撃ち落とす
慎重 H252-A12-B76-D156-S12
(196-167-120-×-132-113)
反省点:この構築ではランドミラーで下から蜻蛉をしたいため、素早さは無振りにするべきだった。
・コンセプトの二体目、同じく軸としての採用。テラスや威嚇込みでの撃ち合い性能に優れている他、現環境で最も安定してブーストエナジーハバタクカミを倒すことができるポケモンである。
・ドヒドイデを使っている際にどうしても厳しくなる挑発カミやサーフゴー、イーユイ、その他電気タイプ全般に対して「交換を読まれてもなお崩されない」働きを見せてくれた。
・また、環境で少し流行していた「スカーフウーラオス+眼鏡ハバタクカミ+チョッキランドロス」の形を取り入れることが出来るため、勝ち筋の幅が広がった。
・コンセプト上当然カイリューとの補完に優れるが、ドヒドイデとの相性の良さも素晴らしい。アタッカー+ドヒドランドのような選出も行うことが出来る。
この場合、ランドロスにテラスタルを切らない意識が必要となるため、選出段階から詰め筋を用意しておく必要がある。
ドヒドイデ@オボンのみ
テラスタイプ:フェアリー
毒々/毒菱/自己再生/黒い霧
図太いH252B252D4
(157-×-224-×-163-55)
・HB特化。それでも足りないくらいであり、残り体力1桁で耐えることがあまりに多かった。
ランドロスが特殊受けであることからHB特化以外の選択肢はない。
・ランドロス/カイリューと相性補完に優れたサイクルパーツであり、多くの試合で選出した。
・オボンの実が非常に強力だった。強引な受け出しからの毒々や黒い霧、不利対面で大幅に削られつつ毒々を入れて再生力で受かる状態にまで戻すなど、勝ち筋を大きく広げることが出来た。
・再生力+フェアリーテラスにより生半可な攻撃では崩されない。選出時は数的有利を取った瞬間にまず、「TODが可能かどうか」を考えることにしていた。
・鋼テラスアンコールカイリューや挑発ハバタクカミなどの流行により動かしづらかったが、ランドロスなどと組ませることでそれら全てをケアすることが出来るため、異次元の詰ませ性能を遺憾無く発揮してくれた。
・終盤数を増やした対鋼テラススケショ地震アンコールカイリューに対しては、以下の二つの方法で勝ち筋を追った。
①TOD。テラスすれば地震が全く入らないので、数的有利や割合有利が取れていれば基本的にこちらを採択する。できるだけ再生力で回復させることを意識し、残り5分程度から自己再生連打のみで安定して逃げ切るようにしていた。
②割合が負けていそうな時。このポケモンとカイリューで回しつつ黒い霧や再生を挟み、13-15分ほど経ったタイミングでカイリューでドラテを放ち裏を引きずり出す。幸い、ドヒドイデが毒菱を撒く暇があるので、相手のカイリューを追い出しつつ毒ダメージを入れて再生力を起動し、結果的にTODによる勝利を狙う。
・ドヒドイデを提案、型を教えてくれたぼんこふに感謝。構築相談もありがとうございました。
参考:【SVシングルシーズン10】草生える金の堪らんドヒドチオン【最終63位/2090】 - みがわりすこすこ倶楽部
参考元リンクにも「テラス前サイクルとテラス後サイクルについての考え」が細かく記載されている。ぜひ読んでみて欲しい。
一撃ウーラオス@拘りスカーフ
テラスタイプ:悪
暗黒強打/インファイト/蜻蛉返り/不意打ち
意地っ張りH60-A236-B4-D4-S204
(183-198-121-×-81-143)
・カイリューの特化ノーマルテラス神速を確定3発。
・ドラパルト抜き。
・11n
・拘りスカーフを警戒されず、蜻蛉返りで襷を削りつつ裏の受けに引く動きが非常に強力だった。パオ対面では蜻蛉→ドヒドイデ投げ→再度ラオスに交換の動きを行う。
打たれるのは「零度」か「サフゴなどへの引き」であるため、最大限の両対応である。
これにより、初手パオジアン絡みの構築には零度初弾被弾以外は負けることがなかった。
・ドヒドイデとのタイプ補完が存外良く、拘りシャドーボールへの抵抗があることで、本来であればサイクル負荷を掛けられてしまう眼鏡カミに対して、逆にこちらが負荷を掛けることが出来た。
・水ウーラオスでは頭を悩ませることになる「カイリュー絡みのサイクル」に対して、暗黒強打が一貫することからスカーフ枠として使いやすさが段違いだった。
・コノヨザルに対してハバタクカミと併せてイージーウィンを狙うことが出来る。コノヨザルは悪ラオスに向かって「憤怒の拳」を押すことは無い。
このため蜻蛉→カミと繋ぐことで基本的にはドレインパンチ、あってもステルスロックで低負荷で突破することが出来た。
・拘りスカーフを見せることで「不意打ち」の警戒が薄れる。アイアンヘッドとの選択だったが、スカーフ持ちやエナジー持ちに最後不意打ちで詰め切ることが多く、採用は正解だった。
ディンルー@食べ残し
テラスタイプ:毒
砂地獄/カタストロフィ/身代わり/挑発
陽気H212-B44-S252
(257-130-151-×-100-106)
・最速。遅いカイリューやチオン、サフゴを抜ける可能性がある。
・HP:16n+1
・終盤に数を増やしていた受けループへのメタとして採用。実際当たることは無かったが、このような枠は用意しておくだけで精神的に一気に楽になるため、すべきだと考えている。
・ガンメタ採用だったが、意外にもかなりの頻度で選出した。軸であるランドカイリューとあまり遜色がなかった。
というのも、終盤に環境が全体的に受けに寄ったからだ。
キョジオーンやヘイラッシャ、チオンジェンなどが増加傾向にあり、それらに対しても役割を遂行してくれるためである。
・自分の練度が足りずに落としてしまう試合が幾度もあった。
バインド系の崩しポケモン(カイリュー、ディンルー、ドランなど)は難しく、使い込みによってより高い点数を出すことができるようになる。今度さらに経験値を稼ぐ必要があると感じた。
参考:【ポケモンSV】最速ディンルーが強すぎて受け構築が余裕で壊滅!!本質ポケモン過ぎて上位勢も驚愕してます!! - YouTube
(サムネイルがめちゃくちゃ胡散臭いですが本当に強かったです)
ハバタクカミ@拘り眼鏡
テラスタイプ:ゴースト
控えめH52-B4-C252-D4-S196
(137-×-76-205-156-180)
・ゴーストテラスシャドーボールで無振りガブを75%で落とす。
・雷でH252D4ドヒドイデ、H振りマリルリ、H252D108までのヘイラッシャ、水テラスしたサフゴやウルガモス、飛行テラスしたトドロクツキ、H252D140までのアーマーガアを確定一発。
・ドラン、ドオー絡みを始めとした、ディンルーでは崩し切れない「緩やかな崩し」を崩すために採用した。そのため、テラスタイプはゴーストになっている。
・ドヒドイデとの偶発対面時に「かみなり」で数的有利を取ることができればそのゲームを一ターンで終わらせることができる。
・上述の悪ラオスやチョッキランドと相性が良く、対面操作からの高火力を押し付けるというアグロな勝ち筋を用意することが出来た。
・火力が低く、崩されにくい相手には初手から投げ、テラスシャドボで一匹持っていってTODのようなプランも取ることが出来た。
・選出率は低かったが、出した時はきちんと活躍してくれた。
【SVはなぜ実力ゲーなのか?】
〈実力の定義〉
・SV環境において、一部の強いプレイヤーが勝ち続けており、実力ゲーが加速したと言われている。
特にキョジオーンなどはその傾向が強く、「上手い人のキョジオーンには勝てない」「キョジオーンは使い手によって真価を発揮する」という認識が膾炙されているように感じる。
しかし、ポケモンの実力とはなんだろうか。
・ポケモンとはターン制のゲームである。
「実力」と銘打っても、噛み合いや追加効果によって勝負が分かたれる以上、高い勝率を維持するのは難しいように思われる。
不意打ち択を合わせるのが得意な人がいたとして、彼は上手いのだろうか。それはただ確率の偏りが起こっているだけであり、実力ではないだろう。
凄まじい読みを通す人がいて、彼は上手いのだろうか。もちろん通ったら勝てるだろうが、それこそ噛み合いの域であり通らなかったら負ける。そのようなプレイヤーは毎シーズン勝ち続けることは不可能だ。だから上手いとは言えないだろう。
もちろん強引な択を通さなければ行けない時はある。その択に気づく力も実力ではあるが、しかし、それは確率でしかないのだ。勝ち続ける理由にはならない。であるのに、ポケモンは勝ち続ける人がいる。
なにか理由があるはずだ。
・自分が考えるに、それはTODの存在が大きい。択や追加効果、噛み合い、それらは全て時間の前では無力である。TODはそれこそ明確に「上手さ」が出る。
大局を見て、試合の展開と終わり方。
何を切って何をどの時間にどの程度取っておけば良いのか。
これらを把握する力はゲームの上手さと言って差し支えないだろう。TODの上手さはポケモンの上手さだ。
テラスタル+TODは再現性が非常に高く、本来噛み合いで負けてしまっていた試合を完全に詰みまでもっていくことができる。
・また、定数ダメージという概念も、実力ゲーを加速させる要素になっている。前述した通り、テラスタルは択を生むシステムであり、いかに構築を綺麗に組もうと避けることのできない状況は起こりうる。
しかし、定数ダメージというものはその択を拒否することが出来る。毒々、ヤドリギの種、塩漬けなどだ。「毒ダメージをn回蓄積させて勝ち」という状況にあっては、読み合いを拒否可能だ。
定数ダメージを「稼ぐ側」は受けポケモンであることが多い。受け側はテラスタルで事実上の数値を向上させられる。
即ち、「相手のテラスタルに有利」で「自分のテラスタルを有効活用できている」という点で、システムの活用度の違いからどちらが有利かは明白だろう。
〈キョジオーンとは時間のポケモンである〉
・本題に戻るが、キョジオーンは自然とTODができるポケモンである。
サイクルパーツとして遺憾無く力を発揮し、相手に対応を強制させる。
それでいて、技構成に無理なく守ると身代わりが入る。
また、先に述べた「定数ダメージ」の要素も持っている。
テラスタルや読み合いを拒否して詰め筋を押し付けられるのだ。
このような性質が「勝ちを確定させやすく」「ポケモンの上手いキョジオーン使いが勝ち続ける」ことに繋がっているのだと考えられる。
・つまり、キョジオーンが強いというよりはむしろ、「TODと定数ダメージが勝ちを安定させる秘訣であり」「キョジオーンはTODに適していて、定数の要素も持つから」「上位のキョジオーン使いは揺るがない」のだ。
・即ち、キョジオーンはあくまで手段であり、TODと定数ダメージこそが本質である。
・これらを踏まえ、SVが実力ゲーと評されるのは、テラスタルと環境の低速化であると考える。
「耐性変化テラスタルが受けポケモンの事実上の耐久数値を引き上げるため」に「TODが成立しやすくなり」「定数ダメージの価値が高くなった」ことが原因であると推察する。
〈TOD、定数とうまく付き合う〉
・以上の考察により、上位を目指すうえでは構築に回復手段は複数枚必須であると考えられる。
自分は今回「再生力ドヒドイデ」を採用することで、選出枠を圧縮しつつ回復手段を増やす形を取った。また、毒々+自己再生により、対面処理の難しい相手を"やり過ごす"ことで対処とした。
実際に、選出画面ではケアの難しい型や、避けられない積み展開などに対してTODの勝ち筋を通すことができたおかげで拾った試合は多く、SV環境とTODシステムの噛み合いの良さを実感することとなった。
〈勝負哲学〉
・もちろん、これらのことはあくまで自分の推察であり、客観的な根拠や説得力に乏しい面もある。
キョジオーンを使っているが別にそんなにTODはしないとか。そもそも「実力」の定義について別の考えがあるとかの人もいると思う。
勝負哲学とは個々人の宗教である。
そのため、論理的なものはあっても「正解」だけは常に存在しない概念である。
・それでも、自分なりの考えや勝負哲学を持っておくことは必要不可欠であると考える。
「自分はこれが得意だ」「これが環境の答えだ」と思い込んで潜らなければ、勝てるものも勝てない。
自分で自分を洗脳することこそがより良い結果に導くことを信じている。
starlog - ChouChoの曲 - Apple Music
スペシャルサンクス
かーぼん イカエ ぼんこふ 忙しい中構築相談に乗ってくれてありがとう