【結果】
TNスカーレット 最終6位
【使用構築】
・キョジオーンは相手を一方的に選出択の迷宮に閉じ込める。試合ごとに正しい選出は存在するが、選出択に正解は無い。
・噛み合いが試合を左右するならば、自ら進んで望ましい噛み合いを起こすべきだ。
【コンセプト】
・強力な受けポケモンで選出択を押し付け、崩しを対面で処理する。
以上のコンセプトを活かすため、構築の原則を三つ定めることとした。
⑴スタンパに対しての選出、行動を固定する。
⑵スタンダードではない特定の構築に対し、極めて強い型で受けポケモンを採用する。
⑶相手の耐性テラスタルに対し、安定した解答を持つ。
これを念頭に、要素を満たすポケモンについて考えていく。
【構築経緯】
①対スタンにおいて、最速かつ火力に振り切ったステラテラスエナジーハバタクカミに注目。
テラスタルがないと対処し切れないケースが多い。
最速+みがわり+ステラはミラーで最も強い型であるとも言える。
ラストに置くポケモンとして抜けた性能をしていると考え、ここから組み始める。
②カミを通すために削る手段を用意したい。とはいえ、カミ自身がサイクル参加出来ないのがネックだ。
二体のみでサイクルさせるのは動きが窮屈であると考え、構築のベースを対面選出に寄せることにした。
③初手に置いて一定以上の安定した成果をあげることが出来、型の多様性から拒否がしづらい襷水ラオスを初手のポケモンとして採用。
④非常に高い対面性能を持ちつつ、対面選出ながらも崩し要素を有するHBベースのオボン電気パオを二体目で繰り出すことにする。
⑤急増していたランド絡みのサイクルやブリジュラスに対して見えない処理が欲しかったので、カイリューをクリアチャーム地震+スピナー型で組み込む。
⑥ここまでの四体が軸であり、対面やスタンパ、有限サイクルには選出が困らなかった。
よって、コンセプトである「受けポケモン」について具体的に考察する。
そしてこの枠は、受けループや相手のキョジオーン対策、ギミックへの処理が可能でなくてはならない。
霊テラス・呪い身代わりキョジオーンは条件を全て満たす。相手のキョジオーンや、受け、バトンなどのギミックへの高い性能が評価できる。
重ためなグライオン絡みのサイクルを誘いつつ安定した勝率が出せるところも、採用する理由となった。
⑦ここまでで炎ポン、ガチグマへの処理が安定しなかった。勝てないわけではないが、望ましい相手ではない。
しかし基本選出はしたい。
ならば、またしても圧力を利用すべきであると考えた。
⑧そこで、前者に選出不能レベルの圧力を与えつつ後者にも対面で悪くない仕事をできる礎オーガポンを登用した。
対面選出がしたい時に相手の低速積みを咎められない問題や、キョジオを出した際の隠密サフゴなどの問題も緩く解決することが出来る。
また、カイリューと合わせてガチグマ入りに選出することで、しんくうはやブラッドムーンをアンコールすることでカイリューの起点を作るなど、起点作成からの積み展開の動きも強力である。
以上①-⑧の工程で構築が完成した。
【個体解説】(採用順)
ハバタクカミ@ブーストエナジー
臆病H4C252S252(131-×-75-187-155-205)
テラス:ステラ
調整意図:最速、かつ上からの縛りを意識しc振り切り
・構築の軸。最速+ステラシャドーボールでミラーに最も強い型であると考えている。
・瞑想は打つ機会が多くなかったので不採用、対面処理を優先し身代わり+ステラバーストとした。
この技がとてもよく刺さった。
ノーマルテラスカイリューの対面処理や身代わりが残っていれば鋼カイリューの対面突破、アクジェが入ったテラス炎ポン、チョッキではないガチグマなど、相手視点想定外の勝利を数多く拾うことが出来た。
・先発の水ラオスがアクアジェットで相手のエナジーハバタクカミを削る機会が多く、そのダメージ量から相手のカミの努力値振りをある程度割り出すことができる。
HBであることが明白なら一度みがわりで電磁波の様子見をしていた。
ウーラオス(連撃)@気合いのタスキ
意地 A252B12S244(175-200-122-×-80-148)
テラス:ゴースト
調整意図:準速水ラオスミラーにおいて下からインファイト。それ以外のラオスには上から通る。
最速カイリューの上から安定した削りを入れられるSライン。
・優秀な襷枠。環境に存在する全ての型が優秀であり、相手に全対応を許さない。
・キョジオーン採用により拘り前提で動かれることが少なくなく、打ち分け可能+アイススピナー+ゴーストテラスの構成によって数多のカイリューの処理に貢献した。
・終盤はブリジュラスが非常に多く、これに対してインファイト→アクアジェットで対面突破可能なため初手の選出率が非常に高かった。
・アクアジェットの削りが非常に優秀。
特に対エナジーハバタクカミにおいては、ウーラオスが倒された後、ダメージ量からその後の行動を決定していた。
・ミラーでの正解がないと言われているこのポケモンだが、本構築では居座りに通るインファイトを選択していた。
蜻蛉返り→ゴーストバックがこの動きの明確なデメリットだが、その場合はこちらのブエナカミの通りがとても良いことを示す。そのため、結果として有利展開である。
・ゴーストテラスは死に出しカイリューなどに安定した削りを入れる際に用いた。他にも拘った対面の水ラオスの技を透かしたり、ドレインパンチの回復を避けつつインファイトすることで負け筋を回避したりと勝利に繋がるテラスタルであった。
パオジアン@オボンのみ
つらら落とし/テラバースト/剣の舞/不意打ち
意地っ張りH172A156B108D4S68
(177-176-114-×-86-164)
テラス:電気
調整意図:ハッサム絡みを崩すため物理耐久をできる限り厚く。最速ウーラオス抜き。
・HABパオジアン。想定を超えた耐久の高さは、相手の処理を結果的に誤たせ、そのまま勝利に結びつけてくれることもあった。
・元は軸であったものの、後述のカイリューが理不尽なレベルに強力であったため終盤は選出率が相対的に減った。
・しかしそれでも、ハッサム入り/アシレーヌ入り/コノヨザルイダイトウ/ママンボウサイクルなどには積極的に選出し、高い成果を挙げた。
・不意打ちと氷の礫は選択だが、眼鏡テツノツツミへの明確な解答であること、オーガポン(炎/水)に対して選出する選択肢を取れるように不意打ちとした。
カイリュー@クリアチャーム
地震/アイススピナー/竜の舞/羽休め
意地っ張りH164A132B4D4S204
(187-188-116-×-121-126)
テラス:地面
調整意図:竜の舞で準速ハバタクカミ、パオジアン抜き。
Aはできるだけ高く偶数、残りを耐久に振り切り。
(197-165ブリジュラスを竜舞+テラス地震で最低乱数切って1発)
・想定を越えて非常に強力なポケモンだった。特に対ランドロスサイクルに対してはまさに異常と言っていい勝率を得ることが出来た。本構築の地面枠である。
・ランドロスと組まれている「ブリジュラス」「タケルライコ」「テツノカイナ」など、その全てを龍舞+テラス地震で葬り去った。クリアチャームが見えた時点で電気テラバーストをケアする動きをされたため、面白いように勝利を量産してくれた。
・特に終盤のブリジュラスの大流行はこのポケモンにとっての追い風であり、パオジアンのいない構築のほぼ全てに選出した。
・当然、エナジーカミも起点であるためスタンにも出しやすい。二度りゅうのまいを積むことが出来ればテラス地震でオーガポンを倒せたり、ハバタクカミが誘発する毒や鋼テラスに弱点をつけることでもカミとの噛み合いがとても良かった。
数多くの試合でハバタクカミ+カイリューの選出をした。
・従来の電気テラバースト型と比べて、テラスに依存しない型であるため非常に柔軟に選出に組み込むことが出来た。また、地震が見えたあとは神速をケアされるため、アイススピナーが尚のこと刺さる。
・そもそも龍舞羽休めカイリューへの意識がやや薄れた環境であったため、初手のこのポケモンだけでそのまま勝利という展開もこの構築の非常に太い勝ち筋となった。
・余りに刺さりが良く、パオジアン入りにも選出したいことが少なくなかったので素早さに努力値を多く割いている。これに関しての耐久、火力不足はあまり感じなかった。
また、臆病以外の眼鏡ハバタクカミの上を取れているのも強力で、相手の認識をズラしつつカイリューを通すことが出来た。
キョジオーン@食べ残し
塩漬け/自己再生/身代わり/呪い
慎重H252A4B60D156S36
(207-121-158-×-143-60)
テラス:ゴースト
調整意図:ミラー/対ヘイラッシャで確実に上から身代わりできるすばやさを確保。
鈍いと併せての詰ませを意識しHDに厚めに。
・崩しを誘導する受けポケモン。対策無しでは詰んでしまうため有象無象の隠密マントを誘う。
それらをカイリューやパオジアンの起点にしつつ処理する動きがこの構築の本命である。
・ミラーや対受けループ、ギミックを意識してs振り身代わり+ゴーストテラスのろいで採用。
・グライオンでの処理を狙う全ての構築に突き刺さるテラスのろいと、塩漬けをカットしつつ受けループのヘイラッシャの地割れを拒否したり、呪いと併せて低速積み詰ませポケモン(隠密クレセリアなど)をカモにする動きを取れる身代わりのシナジーは最高だった。
・スタンに出すつもりがないため"まもる"を切り、キョジオミラーと崩しの役割に特化させた。結果、ミラーや受け、グライオン構築には高い勝率を出すことが出来た。
しかし、机上論完封可能な受けループにマッチングできなかったことは心残りである。
オーガポン@礎の面
陽気AS252B4
(155-172-105-×-116-178)
テラス:岩
調整意図:ミラーやラティオスを意識し最速。
・キョジオーンとの役割補完に優れる他、重ためなガチグマ/オーガポン(竈)に比較的強く出ることが出来るポケモン。
・高い対面性能と「叩き落とす」「アンコール」による崩しを両立出来るため、対面選出をしながらも相手の積み詰ませを拒否することが出来る唯一無二の性能を持っていた。
・構築上非常に重たいディンルーに対して、ウィップ+アンコールでの処理が可能なことや対面/サイクルどちらの枠としても選出可能なため、ラストピースとして非常にマッチしていた。
・また、カイリューやパオジアンの積みとアンコールの相性がとても良く、起点作りとしても活躍した。
・ガチグマのブラッドムーンに受け出してアンコールをする動きが強い。
・ヒールボールはこだわり。
【選出】
ブリジュラス入りスタンへの基本選出。パオジアンがいる場合カイリューの枠をこちらもパオに差し替える。
・岩オーガポン+カミ+カイリューorパオ
ディンルー入りスタンへの基本選出。パオジアンにはこちらのパオジアン。
・キョジオーン+カイリュー+岩オーガポン
キョジオーンミラー、グライオン絡み、受けループ、その他バトンなどのギミックに選出する。
ランド絡みに選出。初手ランドロスに噛み合えばゲームを終わらせられる他、ブリジュラスにも対面突破可能であるため初手からの負荷を狙う。
・岩オーガポン+パオジアン+カミorラオス
コノヨザルスタートの構築には初手パオジアン、裏にハバタクカミ。
【重いポケモン】
・パオジアン
スカーフウーラオスを採用できなかったため処理が難しかった。カミ+先制技やウーラオス、最速を切ってカイリューを通す動きなどやや窮屈になってしまった。
・エナジーテツノツツミ
そもそも対策が難しいが、この構築では特に困る。
ハッサムやランドロスと組んでいるテツノツツミは眼鏡と決め打ち、パオジアンの剣舞不意打ちによる処理をしていた。
【総括】
・S14お疲れ様でした。怒涛の最終日となってしまいましたが、とても楽しかったです。
・今までインフレシーズンは勝てていなかったり、潜っていなかったりだったので、上位での対戦は初めてでした。
しかし、改めて最上位の方々のレベルの高さを実感しました。
・勝っても抜かれ、常に順位が変動し続ける中で潜るのは精神的にも肉体的にも辛いものがありました。目標のために潜っていた全ての方に、本当にお疲れ様でしたを伝えたいです。
・しかし、この体験は経験値としてかなり有意だったように感じます。次回1位を目指すときの糧になることを期待します。
・読んでいただき、ありがとうございました。
【感謝】
ぼんこふ