大阪でのオフライン大会、第三回時渡りで優勝することが出来た構築を紹介します。
構築紹介と銘を打ちましたが、後半は私見による対戦考察の内容となっております。
とても文字が多くなってしまったため、構築を見に来ていただいた方は基本選出まで見ていただければと思います。
拙稿ではありますが、よろしくお願いします。
【結果】
第三回時渡り 優勝
詳細↓
ルール:レギュレーションD
【使用構築】
<基本選出>
⑴ガチグマ+悪ラオス+カミorイダイトウ
初手テラス→襷→スカーフorエナジー
⑵ドラン+カイリュー+カミorイダイトウ
サイクル→スイーパー
ステロ鬼火→積みエース×2
【コンセプト】
・オフ大会において強力な「一発芸を仕込んだ対面構築」を軸とする。
・試合展開の見通しが良くない構築相手に、初手テラスによる逃げ切り展開を選択肢として採れるようにする。
・決勝トナメでのBO3を意識し、対面構築の裏にサイクル選出を用意する。
・素早さの高いポケモンや強力な先制技持ちを必ず選出に絡めることが出来る。
【構築経緯】
<軸の3匹の選定>
・コンセプトの通り、対面構築を組む。仮想敵としては「中速寄りの対面+サイクル」「ウーラオスやディンルー入りのスタンダードな構築」「鈍足高耐久による低速サイクル」などを想定した。
・まず、スカーフイダイトウに着目した。理由として
①一貫性/火力面のどちらにおいても非常に優れており、テラスタルに依存しないスイーパーであること。
②コンセプトの通り先行テラスをこちらが切った時、相手の残ったテラス権を無視しやすい。
(ゴースト技を軽減できるノーマル・悪テラスはあまりメジャーでは無いため、相手のテラスタルを貫通して倒すことが出来る)
③イダイトウの理論値の高さは広く知られるものの、その反面使用率が高くないため、選出画面において相手に必要以上の解答を強制する。
・イダイトウは三体目に置いて真価を発揮する。そのため、二体目に要求する性質は以下の通りであった。
①高火力の先制技を所持しており、対面性能に優れている。
②相手サイクルに対し、崩しとしての要素を持つ。
③相手の受けのテラスタルに抵抗を持つ。
水ラオスでは③の受けテラスタルに対して択を産んでしまう。環境には水ラオスが多く、選出画面において相手はそれを想定し水テラスポケモンでの対面処理を狙ってくる。
メタに対して抵抗を持つということは、そのポケモンの相対的なパワーの向上に繋がる。
このため、本構築において強力なのは悪ラオスであると考えた。
・最後に、初手テラスエースについて模索した。求める条件としては
①初手のウーラオスをカモにすることができる。
②初手テラスが弱点とする「サイクルによっていなされる」「あくびによってテンポを取られる」ことがなく、かつ意外性に優れるポケモンである。
③ディンルーを起点にしつつ裏まで倒すことが出来る。
これを満たす最速草分け剣舞ガチグマを採用。
草分けにより最速100族まで上を取ることができ、空元気は多少の耐久振りウーラオス程度であれば吹き飛ばすことが出来る。
中低速のサイクルに対しても、隙を見て剣の舞を積むことで一匹での制圧が十分に狙える。
恐ろしいことに、剣の舞+異常+根性空元気は262-173までのディンルーやHB特化クレセリア、鋼テラスしたH振り水ロトム、H振りハッサム、鋼テラスウーラオスなどを確定で倒すことが出来る。
これにより、サイクルに対して非常に強い対面構築を作ることが出来た。
・ここまでの三匹を軸とした。
ガチグマ/ラオスの二匹がどちらも高い崩し性能を持っているため、対面構築でありながらサイクルに対して非常に高い勝率を維持できる想定である。
<サイクルパーツを集める>
ガチグマの初手テラスは以下の問題を抱えている。
①初手眼鏡カミのテラスムンフォでゲームが終わる。
②パオジアンに対して、相手がテラバーストを所持しているとゲーム展開が苦しい。
③一発芸であるため、BO3の2戦目以降で対応されやすい。
・①の解決策としては選出画面におけるヒードランの存在が挙げられる。
ヒードランの採用理由として広く膾炙されているものはその耐性である。
カミを受けつつテラスを吐かせることが出来るコマとして一般に理解されていると考える。
このため、相手視点では「ドランはカミを受けるために採用したポケモン」に見えるため初手テラス眼鏡ムンフォを拒否できる。
・②の解決として、ヒードランの型をHBに寄せることでパオ受けとして運用することを考えた。
鬼火を採用することで、ドランでの対面突破に失敗しても裏での処理が非常に楽になる。
また、ランドやラオスの受け出しに対しても質の高い仕事をすることが出来る。
・③の解決として、コンセプトにあるように攻めよりのサイクルをすることで対応することを考えた。
上述のヒードランで盤面を作り、サイクル可能な積みアタッカーで全抜きを狙う。
本来このようなサイクルは受けに寄った中低速の受けサイクルに非常に不利を取ってしまうが、ガチグマラオスがそのような構築に非常に強く、BO3の裏選出としては有利なじゃんけんを仕掛けられると思われた。
・そのためのコマとして竜舞神速カイリューを採用。問題になっていたパオジアンもゴーストテラスが数をめっきり減らしており、環境への通りが非常に良くなっていた。
竜舞カイリューを阻害するヘイラッシャに対してはガチグマが強く、攻めの補完に優れている。
・アイテムは単体の性能を最も高く引き出せる食べ残しとした。
ドラン+カイリューの選出はサイクル選出である。サイクルにおいて、「交代ボタンを押す行動」は強い行動にしたい。例えば、ステルスロックを撒いた状態で、鬼火を食らった水ラオスに対してカイリューを繰り出す行為はとても強い。
有利対面での行動は「回復」ではなく「攻撃」にしたい。そのため、必要なhp量を自動で賄うことが出来る食べ残しは「引き先」にこそ持たせるアイテムであると考えている。
以上により、4/5枠目にはHBヒードラン+竜舞神速残飯カイリューの採用を決定した。
〈2+1〉
・シングル対戦は、基本的に二体の選出をセットとして捉え、そこに添える形で三匹目を選定しているように考えている。
少し脱線して、この内容について掘り下げる。
<"三体目"は二体に寄り添う形になる>
・チオンジェン+ドヒドイデは、「この2体がやりたいこと」は2体で成り立つ。
チオンジェン+ドヒドイデがやりたいのはタイプ受けによってサイクルをすることであって、高火力で相手の受けを蒸発させることでは無い。
だからチオンジェンは拘り眼鏡を持たないし、ドヒドイデは命の珠や拘りハチマキで採用されない。
・しかしこのゲームは相手を三匹倒し切らなければ勝ちにならない。また、相手の崩しに対しても対応しなければならない。そのために襷テツノツツミなどが選出の三枠目として採用されるのである。
チオン+ドヒド+ツツミは決して「チオン+ツツミ」でもなければ「ドヒド+ツツミ」でもない。「チオンドヒド+ツツミ」なのである。
・チオンドヒドのしていることは二体の並びにおいて特異的なものであり、これを他で代用することは出来ない。(ヤドリギの種、どくどく、再生力、カタストロフィなどの要素は他の"受けサイクル"と明確に差別化できる)
しかし、この並びにおけるツツミの要素は代替可能である。
要素である崩しへの対応、こちら側からの崩し、
草テラスを逆手にとるなど。
これらの要素はチオン+ドヒドの並びに採用されている火力強化アイテム持ちのセグレイブの存在が示唆している。
両者は構築において「同じ役割」を持っているが、「アプローチが異なるため、役割"対象"が異なっている」と言え、そのために同じ構築に存在しその完成度を高めているのである。
参考
もんぶりゃん様
【S7 最終4位/レート2127】俺のチオンドヒドは強い - もんぶりゃんって言うらしいよ
すーけん様
【S6最終66位/2085】受け攻めツツミチオンドヒド【ポケモンSV】 - すーけんのブログ2
どちらもサイクルを考える上でとてもためになる記事であるため、読んで見て欲しい。
・話を戻す。対面選出の三匹について振り返る。
ガチグマと悪ラオスの二体は並びとしてとても優れていると言える。どちらも同じような性質を持っており、得意とするポケモンと苦手とするポケモンや並びがが同じだからだ。これは一見欠点のように見えるが、同時に選出する場合大きなメリットを持つ。以下の2点で評価できる。
①ガチグマを選出している=ガチグマの刺さりが良い=悪ラオスの刺さりが良い。
有利な構築に対してとことん有利を取れるということを意味する。
刺さっているポケモンが一匹いたところで立ち回りや型、試合の展開次第でいなされてしまうことはあるが、二匹並んでいるとその構築への勝率は飛躍的に上昇する。
②役割集中を狙うことが出来る。
<役割集中について>
・役割集中という概念は「繰り出されるポケモン」を統一し、そのポケモンに過負荷をかけ処理する戦術のことである。
「本来○○で見れているはず」の動きを破綻させ、裏まで一貫させることを理想としている。
・極端な話だが、ガチグマと悪ラオスのそれぞれでは突破不可能な対物理サイクルに対して考える。
この場合、二匹で"物理技による負荷"を集中させることで処理し裏まで貫通することを狙う。
対物理サイクルは「物理に負けること」を想定して組まれていないため、負荷の集中により対物理の並びを処理してしまえば裏のポケモンまで貫通して試合に勝つことが出来る。
もちろんこれは対物理に特化していない構築にも言える。ガチグマや悪ラオスのそれぞれではごまかしの効く構築であっても、二匹のどちらかが通ってしまえば裏でも対処が難しいことは往々にして存在する。
役割集中の概念に関しては以下に引用するふたつの記事を読む方が理解に繋がると考える。
参考
かもねぎなべ様
喰い断様
喰い断Ⅸさんのポケモン生活 【シングル】 役割集中と一貫性と誘導と 【役割集中・氷/オノノガブ】
・これを踏まえた上で考察すると、「ガチグマ+悪ラオス」の並びは「2」であると考えることが出来る。この構築でやりたいことはガチグマ+ラオスによって成立している。
同じく、「ヒードラン+カイリュー」の並びもまた「2」である。ヒードランとカイリューはサイクルをする、と言ってもヒードランは有限であり、基本的に「ヒードランを使い潰しながらカイリューを通していく」形となる。サイクルという形をとってはいるが、基本的にカイリューに勝ち筋を委託しているのだ。
・対してイダイトウは「1」である。チオン+ドヒド+ツツミにおけるツツミの枠と考えられる。強力ではあるが、代替可能な枠であるし、通せるルートが明確ではない相手に能動的に選出するべきではない。
・このことを考え、「1」の代替になるもの(上述の理論で行くならチオンドヒドにおけるセグレイブ枠)を模索した。
求める要素としては
・すばやさが高く、スイープ能力に長けていること。
・相手のカイリューやテツノツツミに強いこと。
・積み技を持ち、自身がエースになれること。
この三点を満たすポケモンとして「瞑想ブーストエナジーハバタクカミ」を採用した。スイープ性能を高めるためにcsとする。
対面選出でも無理なくムンフォ連打でスイープが可能であり、懸念していた対カイリューも甘えるにより不利を取らない。
・エースとしての性能を高めるため、テラスタイプはフェアリーとした。瞑想+フェアリーテラスムーンフォースでディンルー程度なら一発で倒すことが出来る。不意打ちへの抵抗なども考えて、非常に強力なテラスである。
・以上の考察により構築が完成した。
個体紹介は割愛するが、対面にはクマラオスカミ、サイクルにはドランカイリュー+カミorイトウと投げていれば五分以上の戦いをすることが出来た。
イトウは組み始めではあったが、悪霊弱点が脆く、可能性こそ感じたが使いづらいように感じた。使い手の工夫が必要になるポケモンであるように思う。
<総括>
楽しいオフでした。運営の方々、参加者の方々、ありがとうございました!
優勝することが出来てとても嬉しいです。
オフでの対戦はランクマッチとはまた異なった楽しさがあり、そこでの勝利は変え難い喜びがあるように思います。今後もオフ文化の発展を心から祈っています。